多くの寺社仏閣を擁する福井、尊い滋味はここからはじまる。
独特な世界観、受け継がれる伝統、食文化を連想させる郷土食は、その物語もまた、美味しい。
旅を楽しむならば、“郷に従う” 福井を知るなら、
郷土の美味を味わう古き良き、そして新しい地方の魅力がここに。
大本山永平寺では、仏が仏に供する食事が精進料理であり、調理する側も仏としての覚悟で臨み、頂く側も自らを仏たらしめる作法に従って頂く。日帰り研修では中食(昼食)を、一泊二日の宿泊研修であれば薬石(夕食)と朝食が供される。
美浜町にある国吉城の城下町に建立された曹洞宗陽光山徳賞寺。僧侶が修行のために食べる精進料理ではなく、訪れる方に楽しんでもらえる精進料理を提供(要予約)している。季節の食材を用い、洋風料理を取り入れ、二十種類以上の献立がお膳に並ぶ。
「御食國」の中心地だった若狭小浜で、かつて年間三千五百トンの漁獲量を誇った鯖。小浜と京都を結ぶ江戸時代の旧街道「鯖街道」の起点であり、京都では一塩して運ばれた鯖を用い鯖寿司が作られていた。小浜市でも鯖料理が根付き、鯖寿司が作られている。
福井県には「半夏生」の日に、一本焼きの鯖を食べる風習があり、その焼き鯖の身を福井県生まれのお米「コシヒカリ」と合わせた焼き鯖寿司は福井県が発祥。鯖のまち・若狭小浜では醤油干しにした鯖を香ばしく焼いて使用した、焼き鯖寿司も創作。
仏教で重要な行事「報恩講(ほうおんこう)」の昼食時のお膳には必ず並んだとされる油揚げ。分厚さが特長で、焼いたり、甘辛く煮たりして食す。福井市では1世帯当たりの「油揚げ・がんもどき」購入額が60年連続で日本一に。今なお、福井県民に愛されている。
全県民が知る福井県を代表するソウルフード焼き鳥。福井市の焼き鳥消費額全国2位を牽引する店では、親鳥のメスである純けいが名物。注文は5本単位、地元民は10、20、30という単位のオーダーが常識。持ち帰り専門店もあり、家庭の食卓でも人気。